住宅の内装は、石膏ボードと呼ばれる板を貼り合わせてその上からクロス(壁紙)であり塗装を行います。
その際、石膏ボードにはボードを留めるビスや釘の穴やボードとボードの継ぎ目などが出ています。そのため、凸凹な状態になっています。
その上からクロスや塗装を行っても、凸凹が目立ってしまいとても残念な美観になってしまいます。そこで、パテによる下地処理を行うことでフラットな面に仕上げます。
下地がフラットな面になれば、その上からクロスや塗装を行ってもきれいな仕上がりになります。特に、塗装ではクロスよりもボードの凸凹が目立ちますので、塗装をする場合のパテはより注意が必要になります。
そして、このようなパテによる下地処理のことを「ドライウォール」とも言います。その理由は、この工法の発祥元であるアメリカがもとになっています。
アメリカでは、このような石膏ボードと塗装された壁のことをドライウォールと呼んでいます。そのため、パテによる乾式工法のことを日本でもドライウォールと呼ぶことがあります。
実際に石膏ボードにクロスや塗装を行う場合では、塗装やクロスを貼ることよりも、この下地処理がとても重要になります。
例えば、女性ならば化粧をすると思いますが、その際下地をしっかり作らないと化粧の仕上がりがうまくいかないと思います。
それと同じで、内装の石膏ボードも下地処理をしっかり行わなければ、塗装やクロスの仕上がりが満足いくものではなくなってしまいます。
ジョイント部分の下地処理
実際にボードとボードのジョイント部分の目地パテ処理を行う場合、その工程は5工程にもなります。そのため、石膏ボードによる塗装の施工では、塗装よりも下地処理のほうが時間がかかります。
まず、ボードとボードのジョイント部分をパテで埋めます。この最初のパテが痩せてしまうと、次の工程のジョイントテープとの間に空間が生まれてしまいます。
その空間はパテの割れの根本的な原因になります。よって、その空間ができないようにしっかりパテを行います。
次の工程では、プライマーを塗装します。このプライマーは接着剤のような役割があります。なので、先ほど行った目地パテ処理と次の工程のジョイントテープとの密着強化を行うために塗装します。
そして、ジョイント部分のクラック(ひび割れ)防止のために、ジョイントテープやクラック防止テープと呼ばれるテープを貼ります。
ちなみにこのジョイントテープですが、1工程で済むテープと2工程行わなければいけないテープがあります。
次に、そのジョイントテープを貼ったことによる凸凹を無くすためにパテ処理を行います。また、パテにもいくつか種類があります。
大まかな部分を埋めるパテは、やせが少ないが目が粗い特徴があります。そのため、この際行うパテ処理と一番最初に行ったパテは目が粗いパテになります。
そして最後に仕上げ用のパテを行います。このパテは目が細かいです。先ほどのパテでは、目が粗くそのままではきれいなフラットな仕上がりになりません。
よって、完全なフラットな状態にするために仕上げ用の目の細かいパテで下地処理の仕上げを行います。
その後サンドペーパーを使い、完全なフラットな面に仕上げ塗装します。
コーナー部分の下地処理
しかし、住宅の石膏ボードによる仕上げはこれだけではありません。コーナー(角)部分の下地処理も行う必要があります。実際に生活しているとわかると思いますが、このコーナー部分というのは、ものをふつけやすいです。
そのため、先ほどのジョイント部分の下地処理よりも強力な下地処理が必要になります。その方法としては、まずコーナービートと呼ばれるものを接着剤で取り付けます。
このコーナービートですが、ものによってはあらかじめテープや接着剤がついているものもあります。
そして、コーナービートが剥がれてしまわないように両端をジョイントテープで補強します。その理由は、このコーナービートが剥がれてしまいますと、これから行う下地処理が無駄になってしまうからです。
その後最初に貼ったコーナービートとその補強のジョイントテープの凸凹をパテで埋めます。この際、パテ処理を2回行います。全く同じパテで2回処理を行うため、1回パテを行った部分と2回パテを行った部分の見分けがつきません。
なので、2回目に行うパテに色を付けます。そうすれば、1回パテを行った部分と2回パテを行った部分と見分けがつきます。
このような工夫を行い、工程に抜け目がないようにします。また、この際使うパテは目が粗いパテになります。そのため、痩せにくい特徴があります。
そして、最後に目の細かいパテで仕上げを行います。その後サンドペーパーで完全なフラットな状態にしてから塗装を行います。
ここまで述べてきたことからわかるように、石膏ボードによる塗装ではこの下地処理が最も重要になります。
普通に生活していれば、クロスを貼った部分や塗装した最終的な姿しか見たことがないはずです。しかし、実際はこのように念入りに下地処理を行っています。