屋根材に銅板(どうばん:銅の板)を使用した場合、施工直後はキラキラとした金属の輝きがあります。
しかし、年数が経過すると共に緑色に変色します。銅は金属であるため、雨にぬれたり空気に触れたりすることで酸化して錆が発生するからです。
実は、この現象を緑青(ろくしょう)と呼び、これこそが銅板の魅力とされています。
例えば、鎌倉の大仏やアメリカの自由の女神などは、緑青を美術的観点から取り入れています。
つまり、施工直後の金属の輝くで風格を演出するのではなく、年月の経過と共に現れる緑青の魅力を前提にして銅像を施工しているのです。
銅板も同じように、屋根に緑青が現れることで風情あるたたずまいの和風住宅へと変貌します。
このとき、「表面が錆びるということは、銅板は腐食してしまうのでは?」と疑問を抱く人います。
しかし、緑青は雨水や酸素が触れる面にしか発生しないため、それらと接触しない銅の内部まで錆びることはほとんどありません。
これは、「銅がさびにくいから」という理由だけではなく、表面にあらわれる緑青が銅板を覆うことで耐久性を高めているのです。
緑青の耐久性の関係
実は、銅自体はそこまで高い耐久性はりません。緑青が銅板に現れることで、金属内部の腐食を防ぎます。これにより、銅板は他の屋根材に比べ、長持ちします。
実際に、アメリカの規格協会が行った実験データを見てみると、緑青を生成してからすぐの時期の銅は耐久性に変化はありません。
しかし、歳月が経つにつれて緑青が銅を覆い、それが安定して腐食しづらくなり、高耐久になることがわかっています。
そのため、銅板に緑青が発生しても錆を落としたり塗装をしたりするメンテナンスは必要ありません。
緑青の注意点
なお、銅に発生した錆は簡単に落とすことができます。しかし、前述の通り、銅は緑青によって高い耐久性を保っています。
もし、これを取り除いてしまうと、銅板の耐久性が低下してしまう可能性があります。
そのため、緑青は誤って落としてしまわないように気をつけましょう。
ちなみに、普通に生活をする上で、銅板に発生した錆が人体に悪影響を及ぼすことはありません。一昔前では、「銅に発生する錆は猛毒」という認識がありました。
しかし、昭和59年に、厚生省(現厚生労働省)が緑青猛毒説が勘違いであることを認めています。
ここまで述べてきたことからわかるように、銅は高い耐久性と安全性があります。そのため、さまざまな種類がある屋根材の中で、銅板はランニングコスト(維持費)がほとんどかからないのでお勧めです。
ただし、材料代が高いので、銅板を採用するには膨大な予算が必要であることを覚えておきましょう。