家の屋根に使う瓦の中に粘土瓦という種類があります。この粘土瓦は、瓦の原料が粘土で作られているため、粘土瓦と呼ばれます。なので、原料が粘土を使用している瓦はすべて粘土瓦ということになります。
そして、この粘土瓦にはさらに種類があり、表面に釉薬(うわぐすり、ゆうやく)が塗られている釉薬瓦と釉薬が塗られていない無釉薬瓦(素地瓦)があります。
一般的には、粘土瓦を使用している住宅は和風住宅という認識が一般的かもしれません。
しかし実際は、いろいろな形状や色の粘土瓦によって施工されている住宅が多いです。そのため、洋風住宅でも粘土瓦を使用している住宅が多いです。
このことからわかるように、一概に粘土瓦を使用しているからといって和風、洋風住宅と決めつけてはいけません。間違った認識でメンテナンスを行えば、最悪の事態を招く結果になります。
今後、家を長持ちさせたいのであれば、あなたの家の瓦が何の瓦なのかを把握する必要があります。そこでこのページでは、粘土瓦の特徴や塗り替え(屋根塗装)の際の注意点を紹介します。
粘土瓦の高い耐久性について
粘土瓦の特徴は、その耐久性の高さになります。耐久年数は40年以上になりますので、ほとんどメンテナンスを行う必要がありません。
例えばスレート屋根(カラーベスト・コロニアル)などの屋根は、塗料によって屋根材を覆っています。そのため、塗料で屋根の色を仕上げています。
当然塗料は劣化します。塗装が剥げれば、屋根材がむき出しになってしまうため、そのまま放置すれば雨漏りの原因になります。
しかし、粘土瓦は原料自体に顔料(塗料)が含まれています。そのため、塗装によって色をつけているカラーベストなどとは違い、塗り替えなどのメンテナンスを行う必要がありません。
このことからわかるように、粘土瓦は重くて扱いずらい特徴はありますが、メンテナンスが楽な屋根瓦になります。
ただ、粘土瓦は重いというデメリットがあります。そのため、地震などで住宅に与える負荷は大きいです。
しかし、メンテナンスが簡単な面や耐久性があることから、今でも需要のある屋根瓦になります。
特に、屋根は外壁よりも雨風の影響や太陽の紫外線の影響を受けやすいです。そのため、壁よりも屋根のほうが劣化しやすいです。
いくら粘土瓦が耐久性がありメンテナンスの必要がないと言っても、瓦が割れていればその部分は補修しなければいけません。
また、屋根は外壁と違い日常的に見ることはほとんどありません。例え劣化していたとしても、気づきにくい場所になります。
手遅れになってしまう前に、家を建ててからある程度の年数が経過している場合や前回の塗り替えから7、8年経過しているのであれば、一度業者に状態を確認してもらうようにしましょう。
粘土瓦のリフォーム(葺き替え)の注意点
先ほど述べたように粘土瓦はメンテナンスの必要がほとんどありません。そのため、塗り替え工事を行う必要がありません。ただ、粘土瓦専用の塗料もあるので、塗り替えを行う場合もあります。
そこは、実際に見積もりや診断してもらう業者と相談して判断するようにしましょう。
そして、粘土瓦が劣化した場合、粘土瓦をリフォームする必要があります。その際、リフォームの方法は二つあります。葺き替え(ふきかえ)と葺き直しになります。
葺き替えは古い瓦を撤去した後、新しい瓦に葺き替える方法になります。一方、葺き直しは今ある瓦をそのまま再利用する方法になります。
一般的には葺き替えを行う場合が多いです。しかし、粘土瓦の劣化がそこまでひどくない場合は、葺き直しのほうがコストが安いです。その理由としては、瓦代がかからないからになります。
ただ、葺き替えと葺き直しのどちらがいいのかといいますと、正確な診断を行うには実際に屋根の状態を確認する必要があります。そのため、実際にプロに診断してもらうようにしましょう。
しかしこの際、利益の多い葺き替えを行わせる業者もいるため、依頼する業者選びには特に注意が必要になります。
粘土瓦からガルバリウム銅板へのリフォームの注意点
また、粘土瓦をリフォームする場合、瓦以外への屋根材にリフォームが可能になります。例えば、粘土瓦からカラーベスト屋根にしたり、トタン屋根やガルバリウム銅板などへのリフォームしたりするこが可能です。
ただし、トタン屋根やガルバリウム銅板などの金属を使用する屋根にリフォームする場合注意が必要になります。
その理由としては、金属の屋根材の熱伝導率の高さになります。金属屋根は熱伝導率が粘土瓦に比べて高いです。真夏日になると、金属屋根の温度は約70℃にもなります。
いくら断熱材があるといっても、粘土瓦の断熱材のままトタン屋根やガルバリウム銅板にリフォームしてしまいますと、真夏日ではたとえエアコンをかけたとしても暑くて住みにくい住宅になってしまいます。
そのため、エアコンのない部屋では夏の昼間にいられない可能性も十分に考えられます。
特に、古い和風住宅の粘土瓦をリフォームした場合、断熱材がない場合もあります。その部分には特に注意が必要になります。
ただ、ガルバリウム銅板には断熱材が付属しているものもあります。よって、ガルバリウム銅板のすべてがすべて室内が暑くなってしまうわけではありません。
遮熱塗料を使った塗装について
しかし、万が一断熱材が足りない場合やない場合でも、塗装によって遮熱効果(しゃねつこうか)をもたらすことは可能です。
遮熱効果とは、簡単にいってしまえば外部からの熱を住宅内部に通さないことになります。そのため、金属の屋根材を使用したとしても、住宅内部にその熱がそのまま伝わることはありません。
万が一夏の日中に暑いと思うのであれば、遮熱塗料による塗装をお勧めします。