マンションの大規模修繕工事の内容や施工方法・工程や工期

大規模修繕工事の内容

マンションの大規模修繕の工事内容が、どのようなものか気になる方は多いのではないでしょうか。マンションの修繕工事は、3~6カ月になるため、どのような内容の工事なのか気になるものですよね。

また、工事のスケジュールを確認する際も、工事の内容を知っておくと便利です。

本記事では、マンションの大規模修繕工事の内容をご紹介します。工事の種類や工事を行う理由についても詳しくお伝えします。

マンションの大規模修繕工事は、いろいろな工事や工程を行うので、これから修繕工事を行う方は内容を事前に把握しておきましょう。

大規模修繕工事の工期や工程表:改修工事の流れ

大規模修繕工事の工期は、マンションの規模にもよりますが、3~6カ月程度かかります。長い期間の工事になります。

ただ、どのような工事内容なのか気になるものですよね。

そのため、どのような流れで改修工事を行うのか分かるようにするために、「工程表」というものがあります。この工程表を把握するとどのような工事が行われているのかがわかるので、大規模修繕工事を行う際は工程表を確認するようにしましょう。

居住者説明会

マンション説明会

マンションの修繕工事を行う際、まず居住者に大規模修繕工事の内容などの説明するための説明会を行います。

マンションの修繕工事は、入居者が生活している中行うため、すべての住民に納得してもらう必要があります。工事を行う3~6カ月の期間、工事音や塗料の臭いなどで迷惑をかけてしまうことを考えれば当然ですよね。

事務所・仮設トイレなどの設置

事務所

大規模修繕工事は、3~6カ月の期間工事を行うため、事務所や仮設トイレが必要になります。また、作業をする職人がお昼ご飯などを食べる休憩所も必要になるでしょう。

ただ、マンションの敷地が限られている場合、事務所や休憩所が置けない恐れがあります。「事務所を設置する場所がない」と心配する方もいらっしゃいます。

しかし、その場合は、近くのアパートの一室を借りて事務所代わりにするため、心配ありません。

仮設足場の設置

マンション足場

マンションの足場を設置します。マンションは、外壁を塗装したりタイルを補修したりするため、足場が必要だからです。

足場を組んだ後は、以下の写真のような飛散防止ネットで覆います。

飛散防止シート

塗装時の塗料やゴミやホコリが飛散しないように必要なシートになるため、中から外が見えなくなります。あらかじめご了承ください。

しかし、マンションには、無足場工法によってマンションの修繕工事を行う方法があります。無足場工法とは、足場を使用せずにレスキュー隊のようにぶら下がって作業を行う方法のことです。

この場合、足場を設置する必要がありません。そのため、修繕費用の10%程度になる足場代を削減できます。

無足場工法については、「【マンションの大規模修繕】足場なし・無足場工法の特徴」の記事でさらに詳しく解説しているため、気になる方はこちらの記事にも目を通しておきましょう。

高圧洗浄

高圧洗浄

足場を設置したのであれば、まずは高圧洗浄を行います。タイルやコンクリートの汚れを落とし、きれいな状態で修繕工事を行うためです。

このとき、ベランダに置いてあるものが濡れてしまう恐れがあるため、濡れてしまうと困るものは、室内にしまうようにしてください。

高圧洗浄で汚れが落ちない場合

タイルや外壁などの汚れがひどい場合、高圧洗浄だけでは汚れが落ちないケースがあります。その場合、洗浄する薬品をブラシや刷毛で散布して高圧洗浄を行います。

通常の高圧洗浄では落ちない汚れも、きれいに洗浄することが可能です。

建物の診断:全面打診調査

マンション外壁タイル張り替え

出典:陸洋コンサルタント株式会社

マンションの大規模修繕工事を行う際、外壁やタイルの状態を診断しなければいけません。どこの箇所が浮いているのか、ひび割れているのかを正確に知るためです。

そして、診断結果に応じて適切な方法で修繕工事を行います。まず、タイルの浮きやクラックなどを専用の棒を使って打診調査します。

これにより、タイルが浮いている個所などを正確に判断することが可能です。正常なタイルと浮いているタイルでは、音が異なるので、1枚1枚丁寧にチェックします。

浮いているタイルは空き缶を叩くような高い音するため、音を聞いて判別します。素人でも聞き比べればわかるような音です。

また、タイルを張りではない箇所もモルタルの浮きなどを判別して、ひび割れなどを補修します。

タイルの外壁工事・浮き補修や張り替え

タイル張りのマンションは、浮き具合やタイルのひび割れに応じて修繕を行います。症状に応じて修繕方法は異なるので、順番にご紹介します。

タイルの浮き・剥離の補修

エポキシ樹脂

出典:トーヨー科健株式会社

打診調査によってタイルが浮いていることが確認できたのであれば、外壁に穴をあけます。そして、その穴にエポキシ樹脂(接着剤のようなもの)を注入し、その後その穴にアンカーピンを埋め込み、タイルが剥がれないように補修します。

これにより、タイルが剥がれるのを防ぐことができるのです。

ただ、タイルの浮きの範囲が広い場合は張り替えを行います。エポキシ樹脂を注入する方法では、十分な修繕が行えない恐れがあるからです。

タイルの張り替え

マンションタイル張り替え

出典:塗装職人

タイルの浮きがひどい状況やひび割れている場合は、その部分を張り替えます。一度古いタイルを剥がした後、新しいタイルを張り付けます。

割れているタイルがあったとしても、新しいものに張り替えれば見栄えや耐久性が向上できるのです。

マンションのタイルの補修、張替えについては、「マンションの大規模修繕:タイルの張り替えの時期や外壁工事の方法」の記事で詳しく解説しているので、合わせて読むことをおすすめします。

外壁のひび割れ補修

マンション外壁ひび割れクラック

マンションの外壁がひび割れている場合、その部分を補修する必要があります。ひび割れ(クラック)が大きくなると建物の耐久性が低下したり雨漏りしたりするからです。

タイル張りのマンションの内側、ALC(軽量気泡コンクリート)などは、ひび割れ起こりやすいため、補修を行う必要があります。

ただ、ひび割れの大きさによって、修繕の方法が異なるため、どのような工事の内容なのかを把握しておきましょう。

シール工法:0.2㎜程度の小さなクラック

マンション外壁ひび割れシール工法

出典:中山組

0.2㎜程度の細かいひび割れは、シール工法によって補修を行います。シール工法のシールとは「シール材」のことです。隙間を埋めるゴムのようなものになり、コーキング材とも呼ばれます。

細かいクラックは、シール材によって補修を行えば完了します。

エポキシ樹脂注入工法:0.3㎜を超えるクラック

マンション外壁エポキシ材注入

出典:東恩納組公式スタッフブログ

0.3㎜を超えるひび割れは、エポキシ樹脂という接着剤のようなものを使って補修を行います。この樹脂を内部に注入してクラックの補修を行います。

Vカット工法・Uカット工法

1㎜以上の大きなひび割れは、「Vカット工法」「Uカット工法」の2つのいずれかの方法によって補修を行います。

クラックの大きさが大きい場合、深くまでひび割れている恐れがあるため、一度電動工具で切れ目を入れてから補修を行う必要があるからです。これによって、接着面積を増やし、建物の強度を保てる補修工事が行えます。

Vカット工法

vカット工法マンション

出典:OKASUZUREFORM

Vの字に切れ目を入れてからプライマー(接着剤)を使い、シーリング材によって補修を行います。そして、最後にモルタルを使い、仕上げを行います。

Uカット工法

マンション外壁Uカット工法

出典:合同会社フジモト

Uの字に切れ目を入れてプライマーを塗った後、シール材で補修を行い、モルタルで仕上げを行います。

大きなクラックはこの方法によって修繕を行うため、覚えておきましょう。

爆裂補修

マンション外壁爆裂補修

出典:安村外装

小さなひび割れからコンクリートの内部に雨水が入ると内部の鉄筋が錆びてしまい、コンクリートが剥がれる現象が起きます。これを爆裂現象(ばくれつげんしょう)と呼びます。

コンクリートの天井や外壁でこのような現象が起これば、コンクリートの塊が落下するので、大変危険です。

また、そのまま放置するとマンション自体の耐久性も低下するので、なるべく早めに補修するようにしてください。

マンションのクラックについては、「【マンション外壁の修繕・補修】 クラックやひび割れの対処法」の記事にも目を落としておくと補修方法がより詳しく理解できます。管理組合の方は、合わせて読むようにしてください。

シーリング工事

マンションコーキング打ち替え

古くなったシーリング材(コーキング)の打ち替えを行います。コーキングは、ALCのつなぎ目、コンクリート造のスリット(コンクリートの衝撃を和らげる隙間)、窓やドアと壁の隙間に使用している隙間を埋めるための建材です。

古くなったコーキングは雨漏りの原因になる

コーキングひび割れ

古くなったコーキングは、ひび割れてしまいます。このひび割れから雨漏りの原因になります。築12年周期で行うマンションの大規模修繕工事のタイミングで、古くなったコーキングを撤去して新しく打ち替えるようにしてください。

鉄部塗装工事

マンション鉄部修繕

マンションなどの建物には、鉄部があります。鉄部は、錆びてしまうため、大規模修繕工事のタイミングで塗装による補修を行わなければいけません。

一般的に鉄部がある場所は、以下の通りです。

  • 鉄骨階段
  • 玄関ドア
  • メーターボックス
  • 消火栓ボックス

これはほんの一部ですが、マンションの大規模修繕工事を行う際、すべての鉄部の補修を行います。鉄は錆びてしまうため、ひどくなると塗装では修繕できなくなり、補修費用が割高になってしまうからです。

鉄部の修繕は以下のような流れで行われます。

ケレン作業(錆落とし)

マンションの鉄部ケレン

出典:株式会社|ビー・アール・シー

鉄部の錆を道具でケレンします。錆が付着している状態で塗装を行っても簡単に塗膜(塗料の膜)が剥がれてしまうからです。

そのため、必ず鉄部を補修する際はケレンを行います。

錆止め塗料

マンション修繕錆止め

出典:株式会社|ビー・アール・シー

ケレン作業を行った後、錆止め塗料で下塗りを行います。これにより、錆びを防ぎます。そして、中塗りと上塗り塗料との密着が良くなり、耐久性が高くなるのです。

中塗り

マンション鉄部中塗り

出典:株式会社|ビー・アール・シー

錆止め塗料後、中塗りを行います。塗装は、基本的に3回塗りで施工しますが、その2回目の塗装になります。3回塗装することで、鉄部が錆びにくくなり高耐久になるからです。

上塗り

マンション鉄部上塗り

出典:株式会社|ビー・アール・シー

錆止め、中塗りが完了したら上塗りを行い、仕上がりになります。中塗りと同じ塗料で塗装することで、塗膜が暑くなり耐久性が高くなります。

鉄部は、「ケレン」「錆止め」「中塗り」「上塗り」の4工程の流れで行われるため、覚えておきましょう。

外壁塗装工事

マンションに塗装箇所がある場合、塗り替えを行います。タイル張りのマンションでも、階段の内部の壁は塗装してあるケースがあるからです。

また、階数の少ないマンションの場合、ALCを利用している可能性があります。その場合、塗装によって仕上げを行っているので、外壁のほとんどが塗装箇所になります。

外壁塗装の流れは以下をご覧ください。

  • 養生(ようじょう:マスキング)
  • 下塗り
  • 中塗り
  • 上塗り

それでは、順番に解説していきます。

養生(ようじょう:マスキング)

マンション養生

外壁塗装を行う前に、まず養生(ようじょう:マスキング)を行います。塗料が塗装箇所と関係のない場合、付着しないようにテープやビニールシートなどを使って保護します。

外壁塗装の下塗り

マンション外壁下塗り

外壁塗装は、まず下塗りを行います。この下塗りを行うことで、外壁と仕上げに使う塗料との密着が良くなります。

つまり、塗料が外壁から剥がれにくくなるため、耐久性が増すのです。

外壁塗装の中塗り

アパート外壁中塗り

出典:岡憲塗装

下塗りが完了したのであれば、中塗りを行います。外壁塗装に使われる塗料は以下の通りです。

  • ウレタン塗料
  • シリコン塗料
  • フッ素塗料
  • 光触媒塗料

上から順番に価格やグレードは高くなっていきます。そのため、ウレタン塗料が一番安く、光触媒塗料が最も高価な塗料です。

その中でも、シリコン塗料が耐久性やコスト面から優れています。耐久性も13年程度になるため、12年周期で行われる大規模修繕工事とのタイミングはとてもいいです。

マンションの外壁塗装を行う際は、シリコン塗料以上のグレードの塗料を使いましょう。

外壁塗装の上塗り

アパート外壁上塗り

出典:岡憲塗装

下塗りと中塗りが完了したのであれば、上塗りを行います。外壁塗装は3回塗りが基本になるため、上塗りが完了したら仕上げになります。

マンションの外壁塗装の価格については、「マンションの外壁塗装の修繕費用、価格や単価の相場」の記事でさらに詳細にお伝えしているので、合わせて読むようにしてください。

マンションの防水工事

マンションの屋上やベランダなど、防水を行っているのであれば、大規模修繕工事のタイミングで修繕しましょう。

防水性が低下した場合、雨漏りの原因になります。特に、マンションの屋上は紫外線の影響を受けやすいため、雨漏りしてしまう前に防水工事を行うようにしてください。

また、マンションの防水には、以下の種類があります。

  • ウレタン防水
  • シート防水
  • FRP防水
  • アスファルト防水

それぞれの特徴を理解した上で、防水工事を行うようにしてください。それでは、順番に解説していきます。

ウレタン防水:耐用年数10~13年

マンション屋上ウレタン防水

出典:屋根・外壁リフォーム相談室へ

ウレタン防水は、耐久性が10~13年の防水材です。ウレタン防水の塗料を塗ることで施工できるため、下地や場所を選ばずに利用できます。

シート防水:耐用年数13~15年

マンション屋上シート防水

出典:田村工務店

シート防水は、防水シートを貼り付けて施工する防水方法です。シートを貼ることで防水工事が完了するため、工期が短く広範囲の防水が行えます。そのため、屋上などに最適です。

FRP防水

マンション尾工場FRP防水

出典:株式会社K・S技研

FRP防水(繊維強化プラスチック)は、強度が強く防水性に優れています。学校のプールなどに使われている防水材です。防水性は高いですが、コストもかかる防水工事になります。

アスファルト防水

マンション屋上アスファルト防水

出典:塗装職人

アスファルト防水は、防水性が高い防水工事です。屋上を人が頻繁に歩くような場合アスファルト防水が向いています。

マンションの防水工事は、用途によって正しい方法で施工を行うようにしてください。

また、防水工事については、「ビル・マンションの大規模修繕:屋上の防水工事、雨漏りを防ぐコツ」の記事で詳しく解説しているので、こちらの記事にも目を通しておくとさらにわかりやすいはずです。

竣工検査(しゅんこうけんさ)

マンションの竣工検査

マンションの修繕が完了したのであれば、工事部分を検査員が調査します。「ひび割れがちゃんと直っているのか」「施工不要はないのか」など、すべての作業した場所を念入りに確認します。

このとき、塗り残しなどの不備があった場合、直ちに補修を行ってもらうのです。そして、厳しい検査が完了したのであれば、大規模修繕は完了します。

足場撤去

マンション大規模修繕・改修工事

すべての工程が終わり、検査が完了したらいよいよ工事は終わります。

足場をばらして引き渡しです。足場をバラしてしまうと外壁に登ることはできませんので、この時点で気になることがある場合は、早めに伝えるようにしてください。

お引渡し

引き渡し

すべての作業や工程が終わったら引き渡しです。このとき、工事内容の書類などは保管しておくようにしてください。

また、修繕工事の保証期間やアフターサービスなども確認しておきましょう。工事後、すぐに雨漏りなどが起こってしまっては大変ですよね。後々トラブルにならないようにとても重要なことなので、チェックしておきましょう。

まとめ

マンションの大規模修繕工事の内容についてご紹介してきました。初めて大規模修繕を行う方は、どのような工事内容なのか把握できたのではないでしょうか。

大規模修繕工事は、3~6カ月程度かかるため、工事の内容は気になるものですよね。これから修繕工事を行う方は、どのような工事が行われるのかを把握しておきましょう。

大規模修繕工事に悩んでいる管理組合必見!

無料相談・お問い合わせはこちら

関連記事

マンション外壁ひび割れクラック

【マンション外壁の修繕・補修】 クラックやひび割れの対処法

ベランダ大規模修繕

マンションの大規模修繕のベランダ:植物やタイルなどは片付けるの?

マンション大規模修繕無足場工法

【マンションの大規模修繕】足場なし・無足場工法の特徴

機械式駐車場修繕

【マンションの機械式駐車場の修繕】注意点や積立金の目安

マンションエレベーター寿命

マンションのエレベーターの寿命は?耐用年数や修繕費の目安

マンション配管の大規模修繕

【マンションの大規模修繕】配管工事の修繕の時期や注意点