マンションの大規模修繕:外壁工事にかかる期間はどのくらい?

工事期間

マンションの大規模修繕工事は、計画から工事が完了して引き渡しされるまでに1~1年半の歳月がかかります。

修繕工事は、管理組合だけで話を進めることができないため、住民の了承を得なければいけません。また、修繕費の積立金が思うように溜まっていないマンションは費用に多く見られます。そのため、意外と時間がかかってしまうものなのです。

そこで本記事では、マンションの大規模修繕工事の期間についてご紹介します。どのくらいの期間がかかるのか事前に把握しておきましょう。

大規模修繕工事の期間

大規模修繕工事は、冒頭でお伝えしたように計画から引き渡しまで1~1年半かかります。入居者の了解や積立金の準備、業者選びなどマンションの大規模修繕は、さまざまな準備が必要になるからです。

それでは、具体的にどのような内容になるのかをご紹介します。

計画から着工

工事を計画してから着工するまで、約1年程度かかります。また、マンションによっては2~3年計画して工事を行うところもあるのです。

まず、大規模修繕の計画が立ち上がったのであれば、それを管理組合の総会で話し合う必要があります。

このとき、総会で承認を経なければ大規模修繕工事を行うことができません。

そして、大規模修繕工事を行う上で、一番問題となるのは「修繕費の積立金」です。積「立金が足りない」という理由で、修繕工事がスムーズに行えない管理組合は非常に多く見られます。

そのため、工事の計画から着工まで1年以上かかることを踏まえた上で、修繕工事の準備を行うようにしてください。

着工から完了

工事を着工してから修繕工事が完了するまで、マンションの規模にもよりますが3~6カ月の工事期間がかかります。

50戸以下のマンションであれば、3~4カ月になり、それ以上になると4~6カ月かかります。マンションの修繕工事は、これくらいの期間がかかることを覚えておきましょう。

大規模修繕工事の期間の事例

大規模修繕工事の計画から工事完了までの事例をご紹介します。実際にマンションの大規模修繕工事を行ったマンションが、どのような流れで期間はどのくらいかかったのかを把握しましょう。

実際のマンションの事例を参考にすればわかりやすいですよね。

築12年目:初めての大規模修繕工事|25戸5階建て

2005年7月:大規模修繕計画

大規模修繕の計画を立てます。

2005年8月:管理組合総会

管理組合で総会を開き、工事の流れを決めます。施工内容や業者選びなどを検討しましょう。

2005年10月:理事会

理事会で修繕工事の最終決定の判断をします。

2005年12月:総会

各業者の見積もりを参考にしてどの業者に頼むのかを決定します。

ただし、価格だけではなく、業者のサービス性などのすべての面を総合的に判断して業者選びを行ってください。

価格重視で手抜き工事をされてしまうマンションは非常に多いからです。後々トラブルにならないためには、優良業者を選定しましょう。

2006年3月:総会

業者を決めて工事の契約をします。

2006年4月:着工

2005年の7月に計画をし、2006年の4月に工事が着工します。

2006年10月:竣工・引き渡し

竣工(工事が完了すること)検査を行い、大規模修繕に不備がなかったのであれば、引き渡しです。

築25年目:2回目の大規模修繕工事|36戸7階建て

2013年2月:大規模修繕計画

大規模修繕の計画を立てます。

2014年3月:管理組合総会

管理組合の総会を開き、修繕委員会を発足します。修繕委員会とは、管理組合の中で大規模修繕に特化した組織のことです。

管理組合によっては、委員の中から修繕委員会を作ることで、大規模修繕をスムーズに行います。

2014年4月:修繕委員会

施工会社の選定を行い、複数社に見積もりを依頼して相見積もりを取ります。複数社に見積もりを依頼すれば、価格やサービスを比較できるので、適正価格で優良業者に修繕工事を依頼することが可能です。

2014年7月:管理組合総会

見積書などを参考に業者を決定します。最終的な判断は、修繕委員会だけの判断ではなく管理組合の総会で決定します。

2014年8月:施工会社決定

業者を決めて工事の契約を行います。

2014年9月:居住者説明会

居住者に修繕工事の説明を行います。修繕工事は、3~4カ月ほどの期間行うため、入居者に工事の説明を行う必要があるからです。居住者の了解を得たら修繕工事を行います宇。

2014年10月:修繕工事着工

修繕工事を着工します。

2015年2月:竣工・引き渡し

工事完了後、検査を行い問題がなければ引き渡しになります。

マンションの大規模修繕工事の耐用年数

マンションの大規模修繕工事の耐用年数をご紹介します。「どのくらいの期間で修繕工事を行うのか」という相談は多く受けます。

マンションの修繕工事は12年周期で行うのが一般的です。箇所によっては築12年で点検を行い、築24年目交換するものもあります。

修繕箇所によって、大規模修繕工事の期間は変わってきます。そのため、どの部分が何年で修繕工事を行うのか把握しておきましょう。

そこで修繕工事の耐用年数や期間をまとめたものをご紹介します。

推定修繕工事項目対象部位等工事区分修繕周期(参考)想定している修繕方法等
1 仮設工事
①共通仮設仮設12年12年・24年・36年・48年… 仮設事務所、資材置き場等
②直接仮設仮設12年12年・24年・36年・48年…枠組足場、養生シート等
2 屋根防水
①屋上防水(保護)屋上、塔屋、ルーフバルコニー補修12年(1周期)12年伸縮目地の打替え、保護コンクリート部分補修
修繕24年(2周期)24年(以降は露出防水)下地調整の上、露出防水(ウレタン塗膜防水)※かぶせ方式(保護層を撤去しない)
②屋上防水(露出)屋上、塔屋修繕12年(1周期)12年…36年…60年…ウレタン塗膜防水の上、保護塗装(トップコート塗り)※かぶせ方式(防水層を撤去しない)
撤去・新設24年(2周期)24年…48年…72年…既存防水層を全面撤去の上、下地調整、(露出アスファルト防水等)
③傾斜屋根屋根補修12年(1周期)12年…36年…60年…下地調整の上、保護塗装(水性ポリマー等)
撤去・葺替24年(2周期)24年…48年…72年…既存屋根材を全面撤去の上、下地補修、葺替え
(アスファルトシングル葺、金属板葺等)
④庇・笠木等防水庇天端、笠木天端、パラペット天端・アゴ、架台天端等修繕12年12年・24年・36年・48年…高圧水洗の上、下地調整、(ウレタン塗膜防水等)
3 床防水
①バルコニー床防水バルコニーの床
(側溝、幅木を含む)
修繕12年12年・24年・36年・48年… 床/高圧水洗の上、下地調整、(ウレタン塗膜防水) 側溝・巾木/高圧水洗の上、下地調整、(ウレタン塗膜防水)
②開放廊下・階段等床防水開放廊下・階段の床
(側溝、幅木を含む)
修繕12年12年・24年・36年・48年…床部/高圧水洗の上、下地調整、(塩ビシート張り等)側溝・巾木/高圧洗浄の上、下地調整、(ウレタン塗膜防水)
4 外壁塗装等
①コンクリート補修外壁、屋根、床、手すり壁、軒天(上げ裏)、庇等
(コンクリート、モルタル部分)
補修12年12年・24年・36年・48年…ひび割れ・浮き・欠損・鉄筋の発錆・モルタルの浮き等の補修
②外壁塗装外壁、手すり壁等塗替12年(1・2周期)12年・24年…48年・60年…高圧洗浄の上、下地処理、塗装(仕上塗材)
除去・塗装36年(3周期)36年…72年…既存全面除去の上、下地処理、塗装(仕上塗材)
③軒天塗装開放廊下・階段、バルコニー等の軒天(上げ裏)部分塗替12年(1・2周期)12年・24年…48年・60年…高圧水洗の上、下地処理、塗装
除去・塗装36年(3周期)36年…72年…既存全面除去の上、下地処理、塗装
④タイル張補修外壁・手すり壁等 補修12年12年・24年・36年・48年…高圧洗浄、欠損・浮き・剥離・ひび割れ等の補修、一部張替え
⑤シーリング外壁目地、建具周り、スリーブ周り、部材接合部等打替12年12年・24年・36年・48年…打継・伸縮・誘発目地、部材取合部等の打替え
5 鉄部塗装等
①鉄部塗装
(雨掛かり部分)
(鋼製)開放廊下・階段、バルコニーの手すり塗替4年4年・8年・12年・16年… 下地処理の上、塗装
(鋼製)屋上フェンス、設備機器、立て樋・支持金物、架台、
避難ハッチ、マンホール蓋、隔て板枠、物干金物等
塗替4年4年・8年・12年・16年… 下地処理の上、塗装
屋外鉄骨階段、自転車置場、遊具、フェンス塗替4年4年・8年・12年・16年…下地処理の上、塗装
(注)機械式駐車場を除く
②鉄部塗装
(非雨掛かり部分)
(鋼製)住戸玄関ドア塗替6年6年・12年・18年・24年…下地処理の上、塗装
(鋼製)共用部分ドア、メーターボックス扉、手すり、照明器
具、設備機器、配電盤類、屋内消火栓箱等
塗替6年6年・12年・18年・24年…下地処理の上、塗装
③非鉄部塗装(アルミ製・ステンレス製等)
サッシ、面格子、ドア、手すり、避難ハッチ、換気口等
清掃12年12年・24年・36年・48年…洗浄の上、コーティング
(ボード、樹脂、木製等)
隔て板・エアコンスリーブ・雨樋等
塗替12年12年・24年・36年・48年…下地処理の上、塗装
6 建具・金物等
①建具関係住戸玄関ドア、共用部分ドア、自動ドア点検・調整12年(1・2周期)12年・24年…48年・60年…動作点検、金具(丁番、ドアチェック等)の調整等
取替36年(3周期)36年・72年…かぶせ工法(既存枠の上に新規枠を取付け)
窓サッシ、面格子、網戸、シャッター点検・調整 12年(1・2周期)
12年・24年…48年・60年…
動作点検、金具(戸車、クレセント、ビート等)の調整等
取替36年(3周期)36年・72年…かぶせ工法(既存枠の上に新規枠を取付け)
②手すり開放廊下・階段、バルコニーの手すり、防風スクリーン取替36年36年・72年…全部撤去の上、アルミ製手すりに取替え
③屋外鉄骨階段屋外鉄骨階段補修12年(1・2周期)12年・24年…48年・60年…点検、腐食部板金溶接補修、踏板取替え等
取替36年(3周期)36年・72年…全部撤去の上、建替え
④金物類
(集合郵便受等)
集合郵便受、掲示板、宅配ロッカー等取替24年24年・48年・72年…
笠木、架台、マンホール蓋、階段ノンスリップ、避難ハッ
チ、タラップ、排水金物、室名札、立て樋・支持金物、隔て
板、物干金物、スリーブキャップ等
取替24年24年・48年・72年…
屋上フェンス等取替36年36年・72年…
全部撤去の上、アルミ製手すりに取替え
⑤金物類
(メータボックス扉等)
メーターボックスの扉、パイプスペースの扉等取替36年36年・72年…
7 共用内部
①共用内部管理員室、集会室、内部廊下、内部階段等の壁、床、天井張替・塗替12年12年・24年・36年・48年…床・壁・天井の塗替え・張替え等
エントランスホール、エレベーターホールの壁、床、天井張替・塗替12年12年・24年・36年・48年…
8 給水設備
①給水管屋内共用給水管更生 15年15年・40年・65年…
屋内共用給水管、屋外共用給水管取替(更新30年30年・60年…仕上げ材の補修を含む
塩ビライニング鋼管への取替え
②貯水槽受水槽 取替25年25年・50年・75年…
FRP製への取替え
高置水槽 取替25年25年・50年・75年…
FRP製への取替え
③給水ポンプ揚水ポンプ、加圧給水ポンプ、直結増圧ポンプ補修8年(隔周期)
8年…24年…40年…56年…
ポンプのオーバーホール等
取替16年16年・32年・48年・64年…
9 排水設備
①排水管屋内共用雑排水管更生15年15年・40年・65年…
屋内共用雑排水管、汚水管、雨水管取替(更新)30年30年・60年…住戸内パイプシャフトを解体撤去の上、取替え、復旧
②排水ポンプ排水ポンプ補修8年(隔周期)
8年…24年…40年…56年…
ポンプのオーバーホール等
取替16年16年・32年・48年・64年…
10 ガス設備
①ガス管屋外埋設部ガス管、屋内共用ガス管取替(更新)(25年)
30年
30年・60年…埋設部掘削、管の敷設、埋戻し、復旧
(ポリエチレン管等)
11 空調・換気設備等
①空調設備管理室、集会室等のエアコン取替15年15年・30年・45年・60年…
②換気設備管理員室、集会室、機械室、電気室等の換気扇、ダクト
類、換気口、換気ガラリ
取替15年15年・30年・45年・60年…
12 電灯設備等
①電灯設備共用廊下・エントランスホール等の照明器具、配線器具、
非常照明、避難口・通路誘導灯、外灯等
取替15年15年・30年・45年・60年…
②配電盤類配電盤・プルボックス等 取替30年30年・60年…
③幹線設備引込開閉器、幹線(電灯、動力)等 取替30年30年・60年…幹線、引込開閉器等の取替え(容量増)
④避雷針設備避雷突針・ポール・支持金物・導線・接地極等 取替40年40年…
⑤自家発電設備発電設備 取替30年30年・60年…
13 情報・通信設備
①電話設備電話配線盤(MDF)、中間端子盤(IDF)等取替30年30年・60年…
②テレビ共聴設備アンテナ、増幅器、分配器等 ※同軸ケーブルを除く 取替15年15年・30年・45年・60年…
③インターネット設備住棟内ネットワーク 取替15年15年・30年・45年・60年…
④インターホン設備等インターホン設備、オートロック設備、住宅情報盤、防犯設
備、配線等
取替15年15年・30年・45年・60年…
14 消防用設備
①屋内消火栓設備消火栓ポンプ、消火管、ホース類、屋内消火栓箱等取替25年交換
25年・50年…
②自動火災報知設備感知器、発信器、表示灯、音響装置、中継器、受信器等取替20年交換
20年・40年・60年…
住宅用又は共同住宅用
③連結送水管設備送水口、放水口、消火管、消火隊専用栓箱等取替25年交換
25年・50年…
15 昇降機設備
①昇降機カゴ内装、扉、三方枠等補修15年(隔周期)
15年…45年…
内装取替え、三方枠塗装
全構成機器取替30年(隔周期)
30年…60年…
全部撤去・新設
16 立体駐車場設備
①自走式駐車場プレハブ造(鉄骨造+ALC)補修10年(1・2周期)
10年・20年…40年・50年…
鉄部塗装、車止等の取替え
建替 30年(3周期)
30年…60年…
全部撤去の上、建替え
②機械式駐車場二段方式、多段方式(昇降式、横行昇降式、ピット式)
垂直循環方式等
補修5年(1・2・3周期)
5年・10年・15年…25年
鉄部塗装、部品交換
二段方式、多段方式(昇降式、横行昇降式、ピット式)
垂直循環方式等
建替20年(4周期)
20年……40年
全部撤去・新設
駐車装置、制御板、昇降装置等
17 外構・附属施設
①外構平面駐車場、車路・歩道等の舗装、側溝、排水溝 補修24年24年・48年・72年…
囲障(塀、フェンス等)、サイン(案内板)、遊具、ベンチ等取替24年24年・48年・72年…
埋設排水管、排水桝等
※埋設給水管を除く
取替24年24年・48年・72年…
②附属施設自転車置場、ゴミ集積所取替24年24年・48年・72年…
植樹整備24年24年・48年・72年…
18 調査・診断、設計、工事監理等費用
①調査・診断、設計、コ
ンサルタント
大規模修繕工事の実施前に行う調査・診断
計画修繕工事の設計(基本設計・実施設計)・コンサルタン
1回目10年
以後12年
10年・46年…第1回目・第4回目…の大規模修繕工事に係る業務
22年・58年…第2回目・第5回目…の大規模修繕工事に係る業務
34年・70年…第3回目・第6回目…の大規模修繕工事に係る業務
②工事監理計画修繕工事の工事監理12年12年・48年…第1回目・第4回目…の大規模修繕工事に係る業務
24年・60年…第2回目・第5回目…の大規模修繕工事に係る業務
36年・72年…第3回目・第6回目…の大規模修繕工事に係る業務
19 長期修繕計画作成費用
①見直し長期修繕計画の見直しのための調査・診断
長期修繕計画の見直し
5年5年(・10年)・15年(・20年)…

出典:公益財団法人マンション管理センター

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修繕工事の期間は、この表のようになります。それぞれの修繕箇所の期間の違いを把握しておきましょう。

マンションの修繕工事の耐用年数は、「マンションの修繕時期の期間、タイミングはいつ?周期やサイクル」の記事で詳しく解説しています。合わせて読むようにしてください。

まとめ

大規模修繕工事は、工事を行うまでに1年以上かかります。また、工事を始めてから完了するまで、マンションの規模にもよりますが3~4カ月かかります。

また、居住者には迷惑をかけるため事前に説明会などを開き、少しでも負担がかからない配慮が重要です。

そして、マンションの修繕工事の期間は12年に1度行うのが一般的です。先ほどの表を参考にして、修繕箇所がどの程度の時期で行うのか把握しておきましょう。

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