住宅に使われる素材の中に、窯業系(ようぎょうけい)サイディングボードがあります。現在では、洋風の住宅が人気になり、この窯業系サイディングボードが多く使われるようになりました。
例えば、レンガ調の外装の住宅ならば、レンガを実際に使用しているのではなく、それは窯業系サイディングボードの外壁になります。
この窯業系サイディングボードは、原料にセメントや繊維を使用しています。そのため、セメント系の素材強度と木質系の特徴である断熱性を最大限生かした外装になります。
また、表面部をガラス質のコーティングで耐久性を確保しているため、住宅の外壁材として申し分のない素材になります。
しかし、このような家の外壁として素晴らしい機能性を持っている窯業系サイディングボードですが、デメリットも存在します。
窯業系サイディングボードのデメリット
それは、水分を吸収しやすい点になります。窯業系サイディングボードは、水分を吸水すると膨張し、逆に乾燥すると収縮します。この収縮性によって、クラック(ひび割れ)が発生してしまいます。
なので、外壁の表面を塗装によって防水性をもたらす必要があります。そこで、住宅の塗り替えによって、定期的なメンテナンスを行う必要があります。
言ってしまえば、窯業系サイディングボードの塗り替えは、住宅を購入した以上絶対条件になります。
ただ、定期的なメンテナンスを行う以上に、窯業系サイディングボードには注意しなければいけないことがあります。それは、窯業系サイディングボードの施工方法になります。
窯業系サイディングボードには、2種類存在します。
・直張り
・通気構法
になります。直張りの施工方法で窯業系サイディングボードを施工すると、外壁内部に侵入した水分が壁内結露(内部結露)を起こす確率が高いです。そうなれば、内装に使われるボードに水分が吸収されてしまいます。
そうなれば、壁内にカビが発生してしまい腐敗してしまう可能性があります。一方通気構法では、外部の窯業系サイディングボードと室内のボードの間に空気が流れる空間があります。その空間によって空気が流れます。
そのため、内装に使われるボードに発生する結露を防ぐことができ、外装や住宅の寿命を長持ちさせることができます。
ただ、直張りで窯業系サイディングボードを施工してしまえば、新たに新規に工事を行い通気構法を行わなければいけません。
万が一、直張りで施工してしまえば対処法は一つしかありません。それは、こまめにメンテナンスを行い、窯業系サイディングボードに外部からの水分を吸収させないことです。
このことからわかるように、最初の家を建築する段階で直張りではなく、通気構法で施工しなければいけません。しかし、2000年頃以降からこの通気構法が標準工法になりました。そのため、現在建てられている住宅というのは、通気構法による外装が多いです。
ただし、あくまでも標準工法になっただけであって、必ずしも通気構法で施工を行わなければいけないわけではありません。具体的な罰則もありませんし、制度もないのです。
このことを踏まえた上で、窯業系サイディングボードを外装に使うのであれば、施工方法に特に注意しなければいけません。
お客様の中には、業者に任せればすべてうまくいくと思っている方が多いです。確かに、サイディングボードの直張りと通気構法の違いなど素人では判断することは難しいです。
専門的な分野になりますし、住宅にはさまざまな業者や部位が存在します。その一つ一つをすべて調べて網羅(もうら)することは、現実的ではありません。
ですから、何よりも業者選びが重要になり、あなたの大切な住宅を任せられる業者に工事を依頼する必要があるのです。