住宅に使われる外壁の素材の中に、サイディングボードと呼ばれる素材があります。最近の洋風の住宅の外壁に使われることが多いため、名前くらいは聞かれたことがある方もいるのではないでしょうか。
その中でも今回は、窯業(ようぎょう)系サイディングボードについて紹介します。窯業系サイディングに使われる主原料は、セメント質や繊維質になり、その原料を板状に成形した建築物の外装に用いる防火材料になります。
そのため、セメント系の素材強度と木質系の特徴である断熱性を最大限生かした外装になります。また、表面部をガラス質のコーティングで耐久性を確保しているため、住宅の外壁材として申し分のない素材になります。
そして、この窯業系サイディングボードの最大のメリットは、上質なデザインや豊富なデザインを表現できる点になります。
現在の洋風の住宅の外装でレンガ調の外装は、ほとんどがこの窯業系サイディングボードになります。
まるで本物のような質感を再現できるのもこの窯業系サイディングボードの魅力になります。
また現在では、新築戸建ての10棟に7棟の外壁材が窯業系サイディングになります。
その窯業系サイディングですが、主に次の三種類があります。
・セメント系の現状に木質系繊維を使用し補強した木繊維補強セメント板系のサイディング
・セメント質に無機質、有機質繊維を使って補強した繊維補強セメント板系のサイディング
・セメントやケイ酸カルシウムなどの無機結合材を無機質、有機質繊維を使って補強した繊維補強セメント、ケイ酸カルシウム板系のサイディング
になります。住宅の素材で問題になったアスベスト(石綿)が含有しているものが多いです。しかし、現在では法律で使用が禁止されていますので、アスベストを使用している窯業系サイディングボードはありません。
しかし、法律で規制される前の2000年頃生産されたサイディングボードにはアスベストが使用されている可能性があります。アスベストは人体に影響を与えることが問題になりましたが、それ以外は住宅に使われる素材としてはとても素晴らしいものでした。
アスベストは、弾力、不燃性、酸やアルカリに強い、断熱保温性、絶縁体、吸湿性、などの住宅に建材に必要な要素持っています。そのため、奇跡の鉱物と呼ばれるほどのものになります。
しかし、先ほどの述べたようにアスベストは人体に及ぼす枠影響が社会問題になり、法律で使用が禁止されました。
とは言っても、このような住宅の建材とって素晴らしい素材の代用はそう簡単に見つかりません。
なので、アスベストが禁止された直後のサイディングボードは、代替繊維が使用されており一時的に性質が不安定でした。特に、1985年~90年頃に製造されたサイディングボードは注意が必要になりますので、メンテナンスを怠らないようにしましょう。
窯業系サイディングボードのデメリット
そして、窯業系サイディングボードは、非常に水分を吸収しやすい特徴があります。よって、水や湿気を吸うと伸び、逆に乾くと縮む性質があります。実は、この湿乾伸縮性がサイディングのデメリットになります。
例えば、雨が一日中降っていた場合、その間サイディングボードはずっと給水します。そして、その吸水によってサイディングボードの重さは、1.2~1.5倍に増えます。
その後その給水した水分を乾燥するためには、自然乾燥で約3日間かかります。
なのでサイディングボードは、雨が降るたびに伸縮を繰り返すのです。
これが何年も続けばどうでしょうか。当然、伸縮に耐えられなくなり、表面の塗装にクラック(ひび割れ)が発生します。
サイディングを釘で止めている場合は、縮んだ際の引っ張りに耐えられなくなり、釘周りの部分が割れてしまいます。また、サイディングボードの板と板の隙間にはシーリング材(コーキング:ゴムのようなもの)が埋められています。
そのシーリングもサイディングの伸縮時に引っ張られ、ひび割れを起こします。このようなクラックが原因になり、住宅内部に雨水が浸水します。
このようなサイディングボードの弱点である湿乾伸縮性を防ぐためには、サイディングボードに水を吸水させないことになります。吸水させなければ、サイディングボードは伸縮することができません。
塗装によって防水性をもたらす
サイディングボードの吸水を防ぐためにも、サイディングボードの表面を塗装によって防水性をもたらすようにしましょう。
そしてもう一つ方法があるのですが、サイディングボードの施工方法を直張りではなく、外壁通気構法にするようにしましょう。
外壁通気構法とは、壁と壁の間に空気の通り道を作り、湿気を乾燥させる仕組みになります。空気の通り道がないと、外壁内部の湿気や水分が結露になってしまいます。
しかしこの空気の通り道を作ることによって、外壁内部に結露を防ぐことができます。
現在では外壁通気構法は、標準工法になっています。ただし、特に罰則がないため、現在建設中の新築でも直貼りによる外装が存在します。なので、サイディングボードで外装を行おうとしているのであれば、特に注意が必要になります。